嶋田が思いついたことをテキトーに綴ります
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本件につきましては議論をしたところで平行線になることは明らかでありますので、反論は無視します。
今日の報道によると、和歌山県太地町における追い込み漁について、某動物愛護団体代表が、「クジラやイルカが苦痛の多い方法で殺害されているのは動物愛護法に違反している」として、和歌山県知事、県を相手に漁の許可取り消しを求める訴えを起こしたとか。こともあろうに太地町の住民も原告の一人として加わっているとか。そこで育った住民だとしたら情けない話だね。オーストラリアのイカレたイルカ保護団体も支援しているとか。「多くの日本人はイルカを魚と認識し、イルカには動物愛護法が適用されないと勘違いしている。この訴訟ではイルカは魚類ではなくほ乳類であることを明確にします」だとさ。おいおい、日本の教育水準はそんなに低くはないぞ。日本人をナメてるのか? イルカが哺乳類だなんて事は乳幼児を除けばほぼ全ての日本人は知っている。バカにするな!
日本が国際鯨保護狂会・・じゃなくて国際捕鯨委員会からの脱退を表明したため、風当たりが強くなるとは予想していたが、国内からこんな動きが出るとはね。大英帝国でデモが行われ、東京オリンピックボイコットを叫んだのに対しては「どうぞご自由に」だったが、国内から出てくるとはこれまた情けない。国際捕鯨委員会というのはそもそも、鯨の資源管理をし、各国に捕獲量を割り当てるためのものであるはずだが、科学委員会が資源量は十分にあるとしても総会で否決される。鯨は可愛いとか頭が良いとか、訳の分からんことをぬかす連中の巣窟となり、まともな議論もできなければ資源管理委員会としての役割を放棄しているのであるから、脱会して当然。奴らは世界中の海を鯨が埋め尽くしても、鯨は絶滅しかけているとか言うだろう。まあ、そうなる前に餌が無くなって、勝手に餓死して数は減るだろうが。今海洋資源が全般的に減っているのは、乱獲もあるだろうが、鯨が増えて餌として相当量が食われているからだという説もある。
ましてやイルカについては国際鯨保護狂会の管轄外だから、文句を言われる筋合いはない。個体数だって相当数いる。しかも食い始めたのは昨日今日の話ではない。私の故郷では縄文時代の遺跡からイルカの骨が出土するそうだ。捕獲して食って何が悪い。イルカは頭がよいから食べてはいけないなんてのは、人種差別にも通じる偏見的な考えであると私は確信する。イルカだろうがニワトリだろうが、生きていることには変わりない。
太地町は地形を見れば農業にあまり適さないことは容易に想像できる。現在(2016年のデータ)でも太地町の農業生産額は1千万円程度で、全国1679位(1719市町村中)、生産額の全てが果物だという。一方、良い入り江があり、昔から漁業で食べてきたことはこれまた容易に想像できる。ところが、イルカが大挙して出没すれば、入り江の中の魚を根こそぎ食い漁っていく。沿岸漁業従事者からすれば紛れもなく、海のギャングである。獲らなければ死活問題だ。それと、イルカは一頭捕獲すれば、かなりの人の貴重なタンパク源となる。そんな土地柄だから、遅くとも江戸初期には組織的な鯨・イルカ漁が成立したとされており、これはもう立派な伝統であり文化である。私は南氷洋のミンククジラ漁については積極的な賛成派ではないが、太地町のような伝統的な鯨・イルカ漁はその土地の文化として尊重すべきだという見解だ。もちろんうちの故郷でもやって欲しいがね。昔は皮付きの肉が入手できたが、今では全然手に入らない。イルカの皮付き肉と根菜の煮込みは、私のソウルフードの一つなのである。
さて、この訴えをした団体は、どうやら動物食を否定する団体だそうだ。動物を食べたりするのはダメだし、他の命に迷惑をかけず、充実して生きていくという、大層ご立派な方々だそうだ。他の命に迷惑をかけず・・ってことは、植物だって命だよ・・ね?
私が思うには、植物を食べるのは残酷だ。ニンジンやネギは、放っておけば芽が出てきたり茎が伸びてきたりするだろう。ジャガイモだって芽が出てくる。つまり生きている。葉っぱだって細胞はしばらくの間生きている。それを生でバリバリ食ったり、細胞が生きたまま釜ゆでの刑にして食うなんて、何と残酷なことか。そもそも刈り取ったり引っこ抜いたりするのは残酷だろう。動物を屠殺するのと何が違うって話だ。どちらも生きている。痛がったり苦しんだりしない(あるいは痛がったり苦しんだりしているのかもしれないが人がそれを理解できていない)からって、植物なら良いと言うのであれば、あまりにも想像力がなさ過ぎる。
まあ、動物を食べるなと主張するのは勝手だし、私とは完全に相容れないから勝手にどうぞという感じだが、そんなに動物食(牛乳や卵も含めて)を否定するのであれば、どうぞ、ビタミンB12欠乏症で苦しんで下さいな。私が知る限り、動物性食品以外でビタミンB12を含んでいるのは海苔くらいのものだ。嘘だと思ったら文科省が公表している食品成分表を検索してみるとよい。穀物、野菜、果物、芋類は、ことごとく0またはTR(検出はするが定量はできない=栄養摂取の観点からは全く期待できない)のどちらかだ。ちなみにその海苔についても、海苔のビタミンB12は、含有量は十分でも吸収効率が悪く、栄養的には評価できないとする専門家もいるようだ。おっと、発酵法で作ったビタミンB12製剤も、その培地に肉エキスとか使っていたら当然ダメですよね!
人間の腸にはビタミンB12を産生する菌は居ない訳だし、数百万年前に人類の祖先が海で海苔を採取して食っていたとは思えないので、人間が健康に生きていくためには何かしらの動物性食品が必要であることは明らかであり、我々の祖先はそのような暮らしをしていたはず(実際動物の骨とか狩りの道具は各地の遺跡から発見されているわけだし)。動物を食うなと言うのは、人類の進化の過程までも否定することにはならんのか?
まあ、少なくともカンガルーを食っているような国とか、狐を遊びで追い回していたような国とか、油を獲るためだけに鯨を殺しまくっていたような国の連中に文句を言われる筋合いはない。
プラチナ萬年筆は昨年、主力商品である#3776センチュリー(ゴールド装飾タイプ)の新色・シュノンソーホワイトとローレルグリーンを投入。キャップリングのロゴをエッチング加工することにより、文字を立体的に表現するなど、より高級感を持たせているが、価格は3,000円上がって13,000円。そしてそれに追従するように、従来からあったブラックインブラック(ミュージックを除く)、シャルトルブルー、ブルゴーニュも同様の仕様とし、13,000円で販売している。一方#3776センチュリー・ロジウム(ニブや装飾部品等、金属部分が全てロジウムメッキされた物)は、今のところ価格据え置きで15,000円。価格が上がったのはロゴをエッチング加工したからではなく、そもそも#3776センチュリーを10,000円で販売するのには無理があり、ついに音を上げたということだろう。#3776センチュリー・ロジウムは、ロジウムメッキ仕様にしただけで5,000円も価格が高くなっていたが、一応金メッキよりも耐久性が高いという理由付けはあるものの、ゴールド装飾タイプの価格を安く抑えていたため、ロジウム装飾タイプを高めの価格設定とし、こちらで利益を確保していたと考える。
そして国産万年筆の雄・パイロットも、昨年1月、一昨年までグランセNCとして販売していた物(スターリングシルバーを除く)をグランセに統合する形でリニューアルし、価格を2,000円上げて12,000円としてきたし、今年1月にはついに、主力商品であるカスタム74を2,000円値上げし、12,000円(コース、ミュージックは14,000円)となった。これは仕様変更されていないため、すでに新価格で販売されている。また、同時にカスタム74とは軸違いとなるカスタム ヘリテイジ91も12,000円に値上げしたが、こちらはクリップにロゴが入るなど仕様変更されており、昨年までの10,000円の物と、新しい12,000円の物が、店によっては混在している。
セーラー万年筆についてはだいぶ前に、主力商品であるプロフィットスタンダードを12,000円に値上げしていたが、それによって販売が伸び悩んでしまい、数年前にプロフィットスタンダードをコストカットする形で、プロムナードを10,000円で上市した。確かにニブのメッキが省略されているが、割とディテールにもこだわっており、本当にそれだけコストカットしているの?と疑問に思っていたのだが、プロフィットスタンダードを今更値下げするわけにもいかず、かといって2,000円の価格差は販売上不利だったため、コストカットしたと理由を付けて、他社と横並びの10,000円で投入してきたというのが真相だろう。セーラー万年筆については、今のところ価格に変更はないが、今後どうするのか?
つまりは、金ペン(ペン先が金合金で作られた万年筆)のエントリーモデルが10,000円という、お決まりの価格を維持すべく、各社無理をしていたわけで、ある意味ではどこが先に音を上げるかというチキンレースみたいな事をしていたのだ。でも金の価格が高騰したまま下がる様相を見せず、ついにその価格で販売し続けることに見切りを付けたという形になる。つまり、これまで無理をして安く出していたのを、ちゃんと利益が出る適正な価格にしただけの話だと思う。この不況の折(政府は景気拡大が続いていると言ってはいるが)、値上がりするのは万年筆マニアとしては出費が増えることにもなるのだが、そもそもそんなことを続けて経営が苦しくなるのでは元も子もない。
一方でプラチナ萬年筆は昨年夏、ステンレスニブで書き味が良く、使いやすいというプロシオンを投入してきているし、パイロットも昨年、グランセからステンレスニブの万年筆を発売し、今年はカスタムNSという、やはりステンレスニブの万年筆を投入してきている。グランセもカスタムシリーズも、これまでは金ペンのみのラインナップだったのに。この動きは金ペンの価格維持が難しくなっているため、ステンレスニブで書き味や使い勝手を追求し、手ごろな価格でありながら、上位品に迫る満足感と、金ニブに迫る耐久性を出そうと努力していることの現れだろう。セーラー万年筆は今後どう動くか、注目しているところだ。なお、ヴィスコンティは10年ほど前から金ニブを廃止し、23Kパラジウムニブを採用しているが、他社は採用していない。やはり金に替わる材質はそう簡単には見つからないのだろうか。
いずれにしても国産メーカーの値上げについては、これ以上従来の価格を維持できなくなったということだろうから、受け入れるしかない。無理して経営が悪化してしまっては困る。ところで近年、万年筆は値上げ、値上げで来ていたわけだが、中には無駄に高級化して無駄に価格を上げるということをやっていた海外メーカーもあるわけで、そういうメーカーに対しては「前のやつの方が好きだったな」と、ファンの目は結構冷ややかだったりする。某社のソネットなんか、新タイプも試し書きしてみたが、私としては首軸が樹脂の旧タイプの方が好きだ(書き慣れているせいもあるだろうが)。
「営業が何もしなくても注文が入る」。多分そんなことはないでしょうね。営業の方々は日々頑張っているのだと思いますし、これだけ売れているのであれば、もし売上が下がった時に何を言われるか怖い気がする。でも、ドイツの筆記具メーカー・ペリカンは、日本での売上は好調ですし、特別生産品ともなれば、あっという間に店頭から消えてしまうことも。だから何もしなくても売れるとか言われてしまうのでしょうね。羨ましい。うちの会社なんか売れないしボーナスも増えないし、ほんと、あやかりたいわ。えっ? お前が創る商品が悪いからだって? はい、そうですね(しゅ~ん)。でもねぇ、コアなファンの方はいるんですよ。親、子、孫の3代にわたってうちの商品をご愛用下さる方もいらっしゃいます。ただ、何と言ってもブランド力が低迷しているし、知名度も低いし、取り扱う店も少ない。昔は営業上がりのお偉いさんからよく言われましたよ。「黙っていても売れる商品を創れ」って。言い返してやりたかったですけどね。「では、営業の方々は必要なくなりますね」って。
おっと、ペリカンの話でしたね。ペリカンは高級筆記具を扱っているお店であれば大抵何かしら置いてあります。小さな売り場だとクラシックM200シリーズとスーベレーンM400シリーズだけの所もありますし、町の文具店の一角の小さな売り場ですと国産しか置いていない店もあったりしますが、大きな売り場ならスーベレーン全サイズ全色が並んでいたりします。パーカーやウォーターマン、アウロラが並んでいるのにペリカンは一本もないって売り場は見たことがないですね。海外ブランドを扱う店では外せないブランドです。昔なら店主の好みで「うちは海外品はパーカーとシェーファーだよ」みたいな店があったかもしれませんが、今ではネットで万年筆を調べれば、ペリカンがすこぶる評判が良いことくらいすぐに分かりますから、選択候補に挙がってくる。だから売れる。売れればお店に置く。専門店で私が色々見ている間に、ペリカンが数本売れるなんていうこともありますね。本当によく売れています。
何故そんなに売れているかと言えば、やはりそれは書き味の良さ、品質の良さ、ほとんどが吸入式万年筆であること、オーソドックスな形状に独特のカラー(好き嫌いはあると思いますが)、そして値頃感なのでしょうか。いえ、結構高い物ですよ。モンブランの同クラス品と比べれば、お手頃感があるということです。それと、重要なのがその豊富なサイズでしょうか。それと、モンブランと違い、児童用や入門モデルもちゃんと出しています。
でも、私はすぐには飛びつかなかったですね。他にも理由はありましたが、長所であるはずの豊富なサイズが、どのサイズにするか迷うことにも繋がったのです。
ペリカン スーベレーン
上からM805ヴァイブラントブルー(限定品)、M600ボルドー、M400緑縞
M805は私の、M600とM400はとある人の所有物。
ペリカンの主な万年筆を以下に挙げます。
スーベレーンM1000 長さ147mm/177mm 軸径16mm 35g 吸入式 18Kニブ
スーベレーンM800 長さ142mm/167mm 軸径15mm 30g 吸入式 18Kニブ
スーベレーンM600 長さ134mm/153mm 軸径13mm 18g 吸入式 14Kニブ
スーベレーンM400 長さ127mm/150mm 軸径12mm 15g 吸入式 14Kニブ
スーベレーンM300 長さ110mm/129mm 軸径10mm 11g 吸入式 14Kニブ
クラシックM200 長さ127mm/150mm 軸径12mm 14g 吸入式 ステンレスニブ
クラシックP200 長さ127mm/146mm 軸径12mm 13g 両用式 ステンレスニブ
長さはキャップを閉めた状態の長さ/キャップを抜いてペン尻に挿した時の長さです。
これらは全て金装飾ですが、M805,M605,M405,M205,P205という銀色装飾の物もあります。
M800は明らかに太いですし、ニブも大きい。そして重量も一気に増し、しかも後ろ側が重くなります。これは内蔵しているインク吸入機構が樹脂製から金属製に変わるためで、キャップを外したまま書いても後ろが重くなり、M800は首軸を持って書くのには少々扱いづらくなります。M800については、胴軸部分を持ってサラッと書くと非常に書き味は良いですが、購入を考えるのであれば、ある程度万年筆に慣れてからにした方が良いと思います。M1000も同じですが、M1000はニブが柔らかく、少しの筆圧変化で字幅が太くなったりします。表情豊かな字をゆったり書くのには向きますが、常用するにはM800の方が向いていると思います。
逆に最も小さいM300は手帳サイズまたはショートサイズと呼ばれる万年筆で、手帳と共に持ち歩いて使うのが主目的になり、常にデスク上で使うには小さすぎるでしょう。それと、私はスーベレーンではM300のみ触ったことがないのですが、ニブは軟らかいという話です。基本的には2本目以降で検討するのがよいでしょうね。
というわけで、M800とM1000は万年筆に慣れた人向き、M300は手帳サイズで、一般筆記用として万人に向くのはM400とM600ということになります。で、この2つですが、ペンを収納した状態ではは7mmほど長さが違いますが、キャップをペン尻に差した時の長さは3mmしか違いません。本当に微妙な差です。軸径はM600の方が1mm太いだけです。重量は3gほど違うものの、どちらも樹脂軸として通常の範囲内ですから、重すぎたり軽すぎたりして使いづらいということはありません。ただ、こんなに微妙な差なのですが、実際手に持って書いてみると、なるほどと思います。このわずか1mmという軸径の差、椅子に座って机上で使うのにはM600の方が満足感がありますが、手帳を手に持って筆記したりする場合は、M400の方が取り回しが良い。しかも机上で使うのには明らかに物足りないという感じでもない。手の小さな方であればむしろM400の方が合うかもしれない。ちなみにニブはM600の方が硬いです。
この2つは似通ったサイズですが、触ってみると、どちらも絶妙なサイズで作られていると感じますが、本当に微妙な差なので、どちらを選ぶかは非常に迷うところです。もちろんどちらかがジャストフィットするならばそれを選べばよいのですが、私見では、迷うようならM400で良いと思います。5,000円という価格差は魅力ですし、迷うということはどちらにも大きな不満がないということでしょうから、その程度の微妙な感覚であれば、使っているうちにM400のサイズやバランスに慣れてくるわけです。なお、万年筆が初めてという方や筆圧の高い方は、M200シリーズという選択肢もあります。サイズはM400と全く同じで、ステンレスニブ。金ペンらしく撓りのあるM400よりも、初心者や筆圧の高い方には扱いやすい物です。また、カートリッジ・コンバーター両用式のP200もあります。もちろんM200もP200もしっかりとした造りの万年筆で、万年筆マニアの方でもM200を好む方は多いです。
と言いつつも、私が選んだのはM805でした。それはシェーファーのインテンシティやSGC300など、重量級の万年筆に慣れていたからで、これらに比べればM800の重量など大したことではないのですよ。しかも書き味はM400やM600よりも好みでしたし。それと、普段持ち歩いて使うとか、デスクで普段使い用の万年筆は、別にペリカンでなくても良い。その書き味にうっとりしながら書き綴るという変態的な趣味には、M800やM1000が良いような気がしたのです。
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さて、そんなペリカンにも注意すべき点があります。まずは字幅。国産のパイロットと比べるとこの通り。
パイロットの極細字はペリカンの極細字とは比べものにならないほど細い。それどころか細字も、ペリカンの極細字より細い。ペリカンは国産に比べ、全体的に2段階ほど太いのです。細字や中字といったら、もっと太いのは明白ですね。何故かと言ったら漢字を7mm罫に納めて書きたかったら、ある程度線が細くないと書きづらいですよね。一方アルファベットならこれより太くても十分に収まります。筆記する文字の違いが一番大きいですね。基本的にペリカンの極細字はパイロットの中細字程度らしいですが、個体によってパイロットの細~中くらいと、ややばらつきがあるようです。一方パイロットはばらつきが少ないメーカーで、大体こんな物だと思っていただいて結構です。私が購入したM805は、上の写真にあるようにパイロットの中細字と細字の間くらいで、ペリカンの極細字としてはやや細めの個体。そこもこれを購入した決め手の一つです。私は細字派なので。
お次は個体差。万年筆には個体差が付きものですが、特にM400はペンポイントに段差があったり、切り割りがセンターから大きくずれている物があるようです。うちの品管なら間違いなく刎ねられるでしょうねぇ。売れている理由に書いた品質の良さとは矛盾するようですが、どうも近年そういう傾向があるようです。なので現品をよく見て購入しましょう。そして、ペリカンの万年筆は、調整することでとにかく劇的に変わるようなのです。人によっては調整することを前提として購入する方もいるとか。なので「ペリカン スーベレーン 書き味最高」とかいうネット記事が上がっていても、よく読んだら調整した物だったりとかします。無調整でも書き味は良いと思いますので、書き味についてもやはり、ご自分の手で確かめて下さい。
要するに評判の良さを鵜呑みにしないことですね。つまり、この記事も参考にしないこと・・ってなっちゃいますなぁ(爆)
先日、歴史的な米朝首脳会談が行われ、合意文書に署名が行われたわけですが、私の場合、政治ショーには興味なく、注目したのはトランプ大統領の手元。署名に使っていたペンですね。A.T.クロスのセンチュリーⅡ ブラックラッカー セレクチップローラーボール・・で、ほぼ間違いないでしょう。そして芯はゲルローラーでもボールペンでもなく、ポーラス(多孔質芯を使ったサインペンのような物)の青を使っていたようです。字幅までは分からないですが、M(中字)か、本国ならB(太字)があるのかもしれません。まあ、アメリカの大統領ですからアメリカのメーカーを使うのは当然として、センチュリーⅡとは意外。大富豪なんだからもっとお高い物を使っていると思ったら・・。でも良い品であることは間違いないですし、高級感もありつつ実用的ですから良い選択なのでしょう。オバマ大統領もクロスのローラーボールを使っていたようです。でも、ニクソン大統領、レーガン大統領が使っていたのはシェーファーの万年筆。かつては調印には万年筆が当たり前で、アメリカの万年筆といえばパーカーかシェーファー(パーカーは英国に移転)。シェーファーを使っていた大統領も多かったようですが・・・やっぱクロスだったか。
シェーファーは私が一番好きな筆記具ブランド。特に菱形のインレイドニブを装着したレガシーシリーズ、タルガ、VLRが大好き。かつては世界の万年筆界をリードするメーカーの一つだったのが、今では見る影も無し。百貨店でも老舗文具店(関東では伊東屋、丸善)でも、ボールペンを申し訳程度に扱っているだけ。丸善ではかろうじて万年筆を見ることもありますが、もはやかつての栄光はどこにも感じられず。行きつけの「万年筆好きが集まる店」でも、新品の在庫はありません。アメ横ですら、古いタルガなどが見つかることはあっても、現行品を見ることはほとんど無いです。本当に今では人気がないです。かつては日本でもよく売れていたのに。
上からレガシーヘリテージ、タルガ、プレリュードSC
どうしてここまで凋落してしまったのか。人気商品のタルガが終売になったのも一因でしょうが、それ以前から人気は落ちていた。あるいは安いノンナンセンスがバカ売れしたため、シェーファーは安物メーカーというイメージが付いてしまったのかもしれません。いや、それ以前にノンナンセンスの軸に高級なコノソアールの首軸を付けることが出来るとか(逆にコノソアールの軸にノンナンセンスの首軸を付けることも出来るらしい)、アホなことをしていたのも敗因か? コノソアール自体、ノンナンセンスを少し高級にした感じで、高級品なのにそんなに高級には見えないという代物ですが、少なくとも安物と軸を交換できるなんて、あり得ない仕様でしょう。そんなことをやってたらダメですね。また、日本で売れていた頃は、セーラー万年筆が代理店となり、部品を在庫していたことから修理対応が早く、それも人気の一因だったようですが、今は修理となれば本国送りで時間が掛かります。
それ以前にも何度か身売りしたようですが、1997年にはフランスのBICに買収され、傘下に入ります。その頃もプロモーションがぶれまくっていましたが、それでもBICの高級筆記具部門として居場所はありましたが、2014年、何と、同じアメリカの同業者であるA.T.クロスに売却されてしまいます。これはまずいと思いましたね。商品がもろに被るわけですから、商品の整理が進むのではないかと予感しました。そしてそれは現実の物となっています。そしてさらに・・
家にあるシェーファーのカリグラフィーキットの箱には、W.A.Sheafferではなく2015 A.T.Cross Companyと書かれています。子会社ではあってもシェーファー社が販売していればシェーファーと書かれるのが普通では? ということは、シェーファーはクロスの子会社ではなく、クロスの一ブランドになっているということか? クロスはシェーファーよりも半世紀以上長い歴史を持つ、アメリカ最古の筆記具メーカーですが、シェーファーはレバーフィラー、スノーケルフィラー、タッチダウンフィラーなど、画期的な吸入方式を開発するなど、万年筆界をリードしてきました。一方クロスはボールペンやローラーボールが有名で、万年筆は良い物ではあっても今ひとつ盛り上がらない。何がしたいのかは分かりませんが、少なくともブランドのてこ入れが行われるのは間違いないでしょう。
さて、ここらでシェーファーの良い点と悪い点を、私なりにまとめてみましょうか。
シェーファーの良い点
・インレイドニブは独特の造形美があり、がっちりと首軸に固定されているため安定感がある。書き味も良好。オープンニブのスチールペンも、書き味は割と良い。
・頑丈で壊れにくい。
・字幅は国産よりも少し太い程度で外国製としては細め。7mm罫のノートで日本語を筆記するのにも十分適応する。
・主に中国製だが、品質は割と良く、ばらつきは少ない方(但し付属のコンバーターには外れがある)。価格も外国製としては安め。
・カートリッジインクの装着が簡単(但しこれは接合部の欠点を逆利用している)。胴軸を外し、胴軸内に正しい向きでカートリッジを入れ、胴軸を取り付ければ装着完了。パーカーやプラチナのカートリッジは、接合部が固くてなかなか刺さらないことがあるが、シェーファーはすごく楽である。
シェーファーの悪い点
・コンバーターやカートリッジが細いパイプのみで接合されているという構造的な難点がある。胴軸内部に脱落防止の段差があり、脱落することはないが、特にコンバーターは使っているうちに接合が緩くなり、インク漏れが起こることがある。また、吸入の際に首軸が脱落するという可能性もある。カートリッジは材質自体に柔軟性があるので、途中で抜いたりしない限り問題はないが・・。
・コンバーターの樹脂が色付きであるため、インクの残量が確認しにくい。
・デザインは悪くないが最近は特にカラーバリエーションが乏しい。黒、金、銀の組み合わせばかりで面白味はない。
・ジェットブラックはフロー過剰で滲みやすく乾きにくい、ブルーブラックはフローが渋い、ブルーは普通っぽい。インクの基本三色がこれだけ違うメーカーも珍しい。
・ボールペンは書き始めが掠れやすい(特に細字、冬期)。ただし感触は個人的には好み。
中でもコンバーターやカートリッジの接合部に構造的な欠点があるのは、シェーファーを勧めづらくしている一因です。カートリッジなら問題ないにしても、そのカートリッジインクも黒(ジェットブラック)は滲むし乾きにくいので非常に使いづらい。一方ブルーブラックは同じメーカーの物なのに、ペンによってはフローが渋く、書き味が落ちてしまう。フロー良く乾きも良好なのはブルーのみ。なのでコンバーターで他メーカーのインクを吸入して使うのがお良いのですが、肝心なコンバーターも接合部に難点があるので、やはり勧めにくい。特にシェーファー100やインテンシティは、首軸の末端から伸びているパイプをコンバーターに突っ込むだけでガイドも何もないため、外れそうで怖い。私は分かっていますからコンバーターはなるべく抜かない、接合部を回さないことにしていますが、やはり仕様的には大きなマイナスでしょう。抜本的に改良するとなると、改良前後のコンバーターとインクを当面は平行して販売することになり、ただでさえ需要が落ちているのにこれは大きな負担になります。なのでジェットブラックやブルーブラックのインクを改良して、カートリッジ主体で使えるようにする方が得策だとは思いますけどね。
まあ、いずれにせよ、かつては軸やニブのみならず、ペンポイント用のイリジウム合金まで自社製造していた、世界的にも希有なメーカーだったのが、自社工場を閉鎖してしまった。その後VLR(すでに生産中止)はイタリアで、レガシーヘリテージはチェコで作られたということですが、他は中国製。悪い物ではないですよ。でも、イメージは依然としてあまり良くない。少なくとも日本ではね。当分上がり目はないかな?
イタリアのオマスが廃業し、デルタも廃業し、シェーファーも完全にクロスブランドに吸収される・・なんてことにならなければ良いのですが・・。
筆記具ブランドとしてあまりにも有名なモンブラン。1906年、ハンブルクの文房具店主、銀行家、ベルリンのエンジニアという三人によって万年筆の製造を始めたのがモンブランの始まりで、ブランドの代表作であり、なおかつ万年筆の王道とも言えるマイスターシュテュックは1924年に発売されています。当初、社名はモンブランではなかったようですが、早いうちからブランドのロゴとしてアルプス最高峰「モンブラン」の意匠を取り入れており、1934年、社名にもモンブランが使われるようになったそうです。以後、ドイツの一流メーカーとして優れた製品を生産・販売し続けますが、その評価がとりわけ高かったのは日本で、「モンブランはドイツで生まれ日本で育った」と比喩されることもあるようです。
しかし、1980年代にはダンヒルに買収され、さらに1993年、そのダンヒルごとスイスのリシュモングループに買収されたことで、現在ではリシュモン傘下のブランドとなっています(カルティエなどもこの傘下です)。リシュモンの意向により、腕時計、革小物、香水などが主力となり、筆記具の生産は中核事業ではなくなっています。そしてかつては存在していたエントリーモデルは全部切り捨て、高級品のみのラインナップとなっております。ボールペンなら2万円台のも出してはいますが、万年筆は、公式オンラインショップを見ると、6万円以下のはありません。販売店も直営のブティックや百貨店、有名文具店などで、もはや町の文具店で見ることはほぼありません。いわゆる高級ブランドの商品でも、S.T.デュポンのように輸入筆記具協会に加盟しているメーカーであれば、発注すればどんなお店でも入荷しますが、モンブランは協会も脱会しており、正規の取扱店でしか扱えないのです。それどころか修理すら受け付けられないそうで、各地で行われるペンクリニック等でも、モンブラン製品については対応できないそうです。基本的にはブランドイメージに合わない店では販売しない。要するにシャネルのバッグを町の鞄屋では売っていないですし修理も出来ないのと同じことです。
その路線変更は、ある意味では当たりだと思います。利益の上がらないエントリーモデルはやめて、顧客層を絞ってそこに注力するというやり方は、圧倒的なトップ企業でない限り、戦略的にはありですからね。トヨタが大衆車の生産をやめると言ったら「何考えてるの?」となりますが、スバルあたりが「大衆車から撤退して高級車路線に絞る」なんて戦略を打ち出したら、「勝負に出たな!」と思うでしょう。モンブランはもはや高すぎて私みたいな庶民には手を出しづらいブランドになってしまいましたが、私みたいなのは相手にせず、富裕層や、ステータス性を重んずる方々を相手にすればよいわけです。しかし一方で、昔から愛用していた人にとっては、釈然としないのも無理はないところですし、私のような天の邪鬼は「じゃあ私なんかが買ってあげなくても良いよね」と、拗ねて(笑)しまうわけです。
それともう一つ気になる点が、東京のブティックでは商品の試し書きに応じていないという情報(地方では応じているらしい)。10年くらい前にブログに書かれていた記事を読んだことがありますが、マイスターシュテュック149の試し書きを希望したところ、146のテスター(試し書き用に用意したセット)で字幅を選び、購入していただく旨を伝えられたとか。つまり、大柄な149も、手帳サイズの114モーツァルトも、146で字幅を選んで買えってことか? それをやるならせめて、146の全字幅に加え、各モデルの細字か中字を揃えて、サイズ感とかバランス、そのモデル独自の書き味が分かるようにしてやらないと、とてもではないが手は出せない。そして出来ればこれから購入しようというモデルの欲しい字幅で試し書きをさせてもらいたいわけですし、商品にインクを付けるわけにはいかないと言うならば、せめて水を付けて水筆紙で試し書きくらいさせてよと言いたくなりますね。伊東屋とか丸善であれば、試し書きできることは分かっていますから、欲しければそういうお店で買えばいいと言われればそれまでですが、私にとってはそういう問題ではない。旗艦店でそういう方針を打ち出しているならば、そこの商品は買いたくはないですね。ペリカンのスーベレーンM400とM600なんて、大して大きさも違わないのに持った感じはやはり違うし書いた感じも違うのですよ。146と149ならもっと違うでしょう。それに万年筆は個体差も付きものですから、146のテスターで試して149を、その個体を試さずに購入するなんて、あり得ない。千円や二千円の物ならともかく10万ですからね。返品もきかないのでいざ買って使ってみたらイマイチ自分には合わなかったなんてことになったら目も当てられない。だからこの先、もしモンブランが欲しくなったら、銀座のブティックに行ってみようと思っています。他人様がブログで書かれた情報を鵜呑みにするのではなく、自分で確かめ、そしてそういう方針であるならば、モンブランには手を出さないでしょう。キングダムノート(新宿にある、新品も中古も扱っている万年筆店で、モンブランの新品も扱っている)で中古を購入するという選択肢も、今のところありません。但しこれはへそ曲がりな私の個人的な意見であって、モンブランはやめた方が良いなんて言っているわけではありません。やり方が気に入らないだけですから。
さて、そのモンブランは、高級品と呼ぶのに相応しいのでしょうか? 見た感じの話ですが、定番品は軸色がほぼ黒で統一され、しかも黒の質感が素晴らしい。そして金やプラチナのメッキ処理も非常に上質な物に見えますね。メーカーの意向もあり他メーカーの物と一緒くたに展示されていることはほぼ無く、独立したモンブランコーナーが売り場で存在感を出しており、演出効果もあるでしょうが、それを差し引いても外観は文句なしに高級品でしょう。そして何よりそのステータス性です。昔から高級筆記具の代名詞のようなブランドでしたから、高級筆記具に興味のない方もモンブランとパーカーくらいはご存じの方が多いですし、キャップトップのホワイトスターは、「どうだ、モンブランだぞ」と言わんばかりの圧倒的な存在感ですね。そして肝心な書き味についてですが、残念ながら触ったこともない物を評価するわけにはいきません。しかし、昔から作家など文筆業の人たちに愛用されたという歴史から、とにかく頑丈で壊れない、長く書いても疲れないという特性は持っていたことでしょう。あの方々は決してペンの扱いが丁寧で、書き味を堪能しながら書くわけではありません。ひどいペンの扱いをする人も多く、それでいて壊れないのであれば、道具としては良い物なのでしょう。そこまでしか言えません。
書き味に関しては、モンブランに限らず「昔はもっと良かった」という評価が、特に万年筆にはつきまといます。その中でも「昔の方が軟らかかった」という評価については、多くのメーカーがそうなのでしょう。ですがボールペンが筆記具の主流となり、筆圧の高い人が増えた現在、万年筆のニブが硬くなっていったのは必然的な流れで、悪くなったのではなく時代のニーズに合わせていったということです。今でも昔ながらの軟らかな万年筆だけを造っているとしたら、それはコアなファン層や、新規客なら筆圧の弱い人を対象とした物にならざるを得ません。パイロットのように軟調ニブをラインナップしたり、ペリカンのようにM1000とM300は軟らかいニブを使うというのは上手いやり方ですが、全部を昔ながらの軟らかさで造るのは得策とは言えないでしょう。
でも私にはそこまでしか言えません。モンブランを持っていませんし、試し書きすらしたことがないですから。昔のように筆記具の最高峰という立ち位置であれば一本は手にしていると思いますが、今では高級ブランドという立ち位置で、そうなると私にとってあこがれの高級ブランドはS.T.デュポンなのですよ。高級ブランドの筆記具は専門メーカーに委託して生産する物が多い中、S.T.デュポンは軸のみならずニブまで自社製造しているとか。しかも注文すれば基本的にどこの店でも入荷しますし、試し書きだって出来ますからね。
さて、万年筆マニアの端くれでありながらモンブランを使ったことすらないこの私が、いつかモンブランを手にする日が来るのだろうか???