嶋田が思いついたことをテキトーに綴ります
最近「血液クレンジング」なるおかしな施術が流行っているという。数年前から行われているようだが、最近になって有名人がSNSで拡散し、話題になっているとか。血液を採取し、オゾンで洗浄した後、体内に戻すというものらしいが・・・微妙だな。オゾンにより活性酸素種を生じ、赤血球、白血球、血小板などに働き、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、頸椎捻挫、肺がんなどに効果が・・・あるの?
血液を採取する場合、静脈から血液を抜く。体表近くに見えている血管はほとんどが静脈だし、そもそも動脈に針を刺したら大変な事になる。その静脈血はあらかた酸素を組織に与えた後の血液であるから、赤茶けた色である。そこにオゾンを吹き込んだら、ヘモグロビンが酸素と結合して鮮やかな赤色になるだろう。視覚的効果でいかにも綺麗になっているという印象を与えるのだろうが、そんなの普段から肺が行っているガス交換を人工的にやっているだけの事。
器具はきちっと洗浄・消毒しているのだろうし、オゾンは殺菌効果が高いので、衛生的には問題ないと思われる。だが、細菌を殺すオゾンが、血球細胞などには全く影響を及ぼさないのか? 細胞膜に傷を付けるという事はないのだろうか? そうした疑問は残るところだし、ちゃんとしたエビデンスは取れていないようだ。つまりは効果のほどは分からない。人体に無害かどうかもよく分からない。
この施術をしている人たちは、本当に効果があると信じているのだろうか。それとも、視覚的にはいかにも綺麗になったという印象を与えるから、お金持ちの意識高い系とか、美しくなるためならいくらでもお金をかける女性たちとかをターゲットにして、自由診療報酬を得て、ほくそ笑んでいるのか。信じるも信じないも貴方次第ってところなのでしょうか。もちろん私は信じない。
方や酸化力のあるオゾンで血液をクレンジングし、方や還元性の水素水を飲んでデトックス。なんて事をしていたら笑っちゃいますね。その水素水もだいぶ下火になってきて、今はケイ素なんてのが流行っているようだが、ケイ素ねぇ。地球の表層(地殻、大気、水圏)には酸素に次いで多い元素でありながら、生体にはほとんど利用されていない(珪藻やイネなど、一部の生物が利用するのみ)ケイ素ねぇ。
人体はモリブデンやセレンといった希元素を利用している反面、多量に存在しているケイ素(2位)、アルミニウム(3位)、チタン(9位)はほとんど利用していない。体内にはいずれも存在しているが、利用するために存在しているのか、勝手に入ってきて特に害もないので残っているのかは定かでない。それでもチタンは、人工的に利用されつつある。体内の環境では腐食されず、アレルギー性も極めて低いため、人工骨や人工関節などの素材として欠かせない物となっている。だがこれは、損傷した骨や関節の代用であって、体内の化学反応をどうこうしようというものではない。
半年ほど前にケイ素に関する資料をどさっと渡され、調べといて・・と言われたが、調べれば調べるほど怪しい、胡散臭い。と、報告しておいたし、当の本人もそう思っていたらしく、その話はもう忘れ去られている。
コラーゲンも微妙である。コラーゲンには他のタンパクには見られないヒドロキシプロリンやヒドロキシリジン[リジン(lysine)は現在、リシンと呼ぶのが正式だそうだが、毒物のリシン(ricin)と日本語表記が同じであるため、私はリジンで通している]が含まれるが、これらはプロリン、リジンとしてペプチド結合を構成した後にヒドロキシ化して生ずる物で、ヒドロキシプロリンやヒドロキシリジンそのものがコラーゲンの合成に使われるのではない。そしてコラーゲンは必須アミノ酸であるトリプトファンをほぼ含んでいないため、タンパク質としての栄養価値は限りなく低い。コラーゲンをたっぷり摂って、タンパク質は足りていると思ってもらったら困ります。私はそんなものを摂取するよりも、肉や魚、大豆、卵などからタンパク質を摂取し、コラーゲンの合成に必要なビタミンCを摂った方が効果的だと思うのだ。コラーゲンを摂るくらいならむしろ、必須アミノ酸のバランスを考慮して作られているプロテインの方がましだと思う(これも、運動もしないのに大量摂取するのは良くない)。
EPAやDHA、αリノレン酸など、ω-3脂肪酸も摂りすぎには要注意。血液さらさら・・なんて言われるが、さらさらになりすぎれば血が止まらない、最悪脳出血などのリスクを高めてしまう。あくまでもω-6とのバランスが大事なのであって、ω-3ばかり摂取していたら大変な事になる。揚げ物などにはω-6が結構含まれるので、脂っこい物が好きな人は時々摂取する・・程度で良いような気がします。
そういう私も、サプリメントは利用している。ビタミンC、マルチビタミン&ミネラル、フィッシュオイル(EPA・DHA)など。だが、毎日ではない。かなりの偏食なので、油物食べ過ぎたと思ったらフィッシュオイルを、ビタミンやミネラルが不足と思った時はマルチビタミン&ミネラルといった風に、その日の食事に合わせて足りない部分を補ったりするのに使う。ビタミンCは、万年筆の洗浄にも使うから、持っていて損はない(笑)。
毎日多量のサプリメントなどを摂取している方は、ここらで一度考え直してはいかがでしょうか。悪いとは言いませんが、どんなに健康に良い物でも、摂りすぎたり取り方を間違えたりすると大変な事になりかねない。血液凝固阻止剤とω-3の併用など以ての外で、普段から飲んでいる持病の薬との相性も考慮した方がよいでしょう。
そして、ケイ素とか昔流行ったゲルマニウムとか、簡単には飛びつかない事です。ケイ素はまだ良いが、ゲルマニウムは有毒元素なので、実際に死者まで出たと言います。血液クレンジングなんてのも、視覚的効果には騙されず、良く科学的根拠を調べてからの方がよいでしょうね。
1. 万年筆の洗浄にビタミンC
没食子インクは第一鉄イオンと没食子酸、タンニン酸を加えたインクで、筆記した後で第一鉄イオンが第二鉄イオンへと空気酸化し、没食子酸・タンニン酸と結合して黒っぽい沈澱を生じ、紙に定着するというインクで、その昔、まだ良い染料や、顔料を微粒子化する技術がなかった頃、耐水性や耐光性を備えたインクとして開発された物です。今では良い染料インクや顔料インクが販売されているため、没食子インクを使う必要性はほぼ無くなっていますが、味のあるインクとして根強い人気があります。もっともペリカンのブルーブラックは、鉄と没食子酸の含量をだいぶ減らしており、堂々と没食子インクであると言えるものではなくなっているようですが。
で、このインクは万年筆の中でも沈澱反応が緩やかに進行してしまうため、万年筆を詰まらせやすいのですが、ビタミンCを添加した水で洗浄すると、沈澱したインクが溶け出し、綺麗に洗浄できるというわけです。
という訳なので、普通の染料インクを洗浄する際には不要ですし、顔料インクを詰まらせた場合は、ビタミンCを使っても溶かせません。顔料インクが詰まってしまったら分解洗浄しか無さそうですから要注意です。顔料インクを入れた万年筆は、とにかく定期的に洗浄する事と、毎日使ってつまりを防止する事が大切です。