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嶋田の戯言

嶋田が思いついたことをテキトーに綴ります

円周率

 昨日、NHKの「チコちゃんに叱られる」で、円周率を取り上げていた。今では小数点以下50兆桁まで計算されているという。そして、それ以下も延々と続くということは証明されている。

 円周率は円の直径と外周の長さの比であるが、正確な円を描くことができない以上、正確に測定することは不可能で、それ故に円に外接する正n角形の外周よりも短く、内接する正n角形よりも長いという事を利用して計算される。nを大きくするほど真円に近づくのであるが、正百角形ならまだ円でないことは分かりそうだが、正千角形なんて、もはやパッと見ても円にしか見えない。だが、円ではない。正一万角形、正一億角形と増やしていっても、厳密に言えばそれは真円ではない。

 だが、小数点以下50兆桁なんて、実際に何の役にも立たない。ただ、そこまで計算したという名誉があるのみだ。では、実際にどこまで必要なのだろうか。

 学校で習うのは3.14である。一時3で教えていた時期があったが、さすがにそれは簡略化しすぎだと思う。そもそも普段の生活に円周率なんて関係ないと言えばそれまでだが、仕事上はこれが関係してくる場合もある。私の場合、科学計算で必要な時は、関数電卓でπキーを押すと出てくる3.141592654を使っている。もっと正確には最後の桁は3で、その下の桁を四捨五入して4になっているのだが、この値で何か問題が発生することはない。3.1416でも十分なくらいだが、πキーを押す方が速いので、3.141592654を使っている。

 一方、もっと大きなものを扱う航空宇宙関連では、これでは桁が足りない。でも、小数点以下100桁なんて必要ないと断言できる。

 可視宇宙(観測できる宇宙)の大きさは直径約930億光年の球体だとされている。ここは簡略化して1000億光年としよう。そして1光年は約9兆4600億kmで、これも10兆kmとしよう。すると可視宇宙の直径は大体1,000,000,000,000,000,000,000,000kmという途方もない数字だ。ここで円周率を3として外周を計算するのと、3.14を利用して外周を計算するのでは、1400垓kmもの差を生じてしまうことになる。とても正確とは言えない。だが、円周率を小数点以下24桁で計算すると、誤差はわずか1km程度になる。宇宙の大きさからすれば1kmなんて微々たるものだ。さらに増やして27桁なら1m、30桁なら1mm、33桁なら1μm、36桁なら1nm、39桁まで増やせば1pm程度の誤差となり、これはもう、原子一個の大きさよりも小さい。即ち、宇宙というとてつもない大きさの物を扱うのにも、小数点以下40桁くらいあれば足りるという計算になる。ちなみにNASAでは小数点以下15桁で計算しているという。この値で、現在地球から最も遠くにある人造物・ボイジャー1号と地球との距離を半径として円を描いたとしても、その円周の長さはわずか数cmの誤差に収まるという。そして、それ以前の問題として、可視宇宙の直径は大体930億光年ということで、92973414489光年かもしれないし、93032048112光年かもしれない。ようやく観測できる距離が1光年程度の誤差で収まるとは思えず、そちらの誤差の方が大きいのだから、円周率の桁をいくら増やしたところで無意味ということになる。

 だから小数点以下50兆桁まで計算したところで実用性は全く無い。小数点以下百桁まで暗記してもそれが役立つことはない。でも人間はさらなる下の桁まで計算することを試みるだろうし、小数点以下百桁まで暗記したら次は千桁に挑戦するかもしれない。人間とは何と面白い生き物だろうか。だが、間違っても小数点以下50兆桁を全部言うなんてことには挑戦しないことだ。1秒に10個の数字を言えたとしても、5兆秒かかることになるが、人間はせいぜい三十数億秒程度しか生きられないのだ。

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HN:
嶋田友馬
性別:
非公開

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