嶋田が思いついたことをテキトーに綴ります
東京高等検察庁の検事長が、5月1日と13日に、新聞社の記者らと賭け麻雀に興じていたとして、辞意を表明。「辞表を受理せずクビ、当然退職金無し」、「刑事告訴すべき」ってのが大筋での民意かと思うが、私としては、どちらも無いかな?
刑法第百八十五条 賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。
刑法第百八十六条 常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処する。
2 賭博場を開張し、又は博徒を結合して利益を図った者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
百八十五条にある一時の娯楽に供する物とは、本来菓子や一回の食事(もちろん常軌を逸した金額の場合は不可)など、その場限りの物と解釈されるが、実情としては常識的な価格の品物であれば、一時の娯楽に供する物と見なされるようだ。例えばゴルフコンペで、皆から数千円ずつ集めて、優勝や準優勝、ブービー賞として1万円程度までの物を景品として出すことはどこでもやっているし、それで賭博罪で逮捕されることはない。100万円もする物が景品であれば賭博罪に当たるが、線引きは曖昧。拡大解釈と言えばその通りだが、1~2万円程度の現金の授受も、現実には取り締まっていない。
まず、麻雀をしたのが緊急事態宣言下で自粛要請されていた時期ではあるが、あくまで要請であるので、地位のある人がこの時期に不適切だとは思うが、法的には何ら問題がない。法的に問題なのは賭けの方だが、検事長と記者らが賭け麻雀をしたレートはテンイチだという。1,000点100円という、ごく一般に打たれているレートである。私はもうずっと打っていないが、仲間内で打っていた時のレートは1,000点50円(とうの昔に時効)。半分のレートで、大勝ち・大負けしても1万くらいだったから、証言にある数千円から2万円くらいが動いたというのと辻褄が合う。
これで懲戒免職なら、法務省、全国の検察、警察で、賭け麻雀をやった人は、全員懲戒免職って事になりますな。もちろん、その他の職業の方でも、みんな逮捕。賭博には違いないが、この程度のことは普通にやられているし、黙認されてきた。検事長という立場から当然批判されるべきではあるが、クビにまではできないかなと。これがバカラ賭博とか、ポーカーゲーム、競馬のノミ屋(私設馬券)などを開帳している所に行って、賭博に興じていたというなら、問答無用、懲戒免職で異論はないのだが、これらが厳しく取り締まられるのは、ある種の組織の資金源となるからで、仲間内での賭博はそういう所に金が流れるわけではないからね。
では百八十六条で告訴はどうかだが、賭博常習犯というのにも少々無理があると思う。麻雀好きなら月2,3回程度は普通だし、これが刑事告訴されるなら、全国で何万人もの被告人が誕生することになるだろう。
というわけで、賭博に関しては戒告、既に辞表が受理されているので、退職金は全部とは言わず、一部を自主返納というのが落としどころのような気がする。検事長がよりによってこの時期にってことで、気持ちとしてはクビ、退職金無しなんだけどね。
麻雀はゲームなんだから、賭けずにやればいいじゃないかという意見もあるだろうが、麻雀というゲームは賭けるのと賭けないのでは別物になる。最高の頭脳ゲームと言われるのは真剣に相手の手筋を読みながら自分の手を作っていくことにあり、振り込んでも実害が無いとなると、無理筋で大きな手を狙ったりして、ゲームが大味になってしまう。当然真剣にやった方が面白い。プロは金を賭けてはいないが、名誉と賞金が掛かっているから真剣にやる。
この件でより問題なのは、検事長と記者が、ズブズブの関係であったのかって事だと思う。記者と麻雀を打つのが悪いとは言わないが、これが昵懇になってしまうのはいかがなものかと。双方共に節度のある付き合いをすべきだし、追求するならむしろこちらだと思うのだが・・。
しかしまあ、この検事長も、2月で定年を迎えていれば、こんなに叩かれなくても済んだだろうに、なまじ定年延長ということになり、かえって損をしたね。仕事は優秀な人だったかもしれないけど、引き際は間違えたかな。
もう一丁。緊急事態宣言が出され、自粛要請されながら、営業しているパチンコ店があるとして問題視されていたが、これはどうなのだろう。パチンコ店でクラスターが発生したという報告は今のところ無いわけで、これはやはりパチンコに対するイメージの悪さが関係していると思う。
パチンコも事実上賭博である。本来は出玉をオモチャ、缶詰、生活用品などの景品に交換するのがパチンコなのだが、それは名目で、特殊景品という物と交換し、それを景品交換所で買い取り、交換所からパチンコ店に卸す。即ちパチンコ店から客、客から景品交換所、景品交換所からパチンコ店と、同じ景品がグルグル回っているという、黒に近いグレーゾーンが黙認されている。景品交換所は古物商に当たらないのか?とか、色々と疑問に思う点がある。しかもこれ、私も3万くらい負けたこともあるし、勝つ時は10万超えもあった(これも15年以上打っていないからもう時効ね♪)。テンイチの麻雀よりも賭博性が高いし、常習性も高い。近年出玉規制が厳しくなってバカ勝ちしにくくなっているようだが、事実上の常習賭博が野放しになっているということで、批判の対象となっている。まあ、打っていた頃は、最も賭博性が高いとされる一発台(のような普通機や権利物)ばかり打っていた私が言うのも何だが・・。
当然これは、景品をそのまま持ち帰る本来の方式に戻せば良いのだが、それをすれば客は一気に離れるし、パチンコ台も昔よりはるかに高度になっており、価格も何十万円となっているから、パチンコ店はほぼ壊滅状態になるだろう。そうなればパチンコ・パチスロ機を製造するメーカーも危うくなる。ず~~~っと黙認してきて今更取り締まられても・・ってことですな。
もう一つの問題が、依存症である。パチンコにのめり込み、多額の借金をする人もいるし、生活保護費をつぎ込んでいる人もいるそうだ。別にパチンコを打つなとは言わないが、生活保護費の大部分をパチンコにつぎ込んでしまえば、納税者としたら文句の一つも言いたくなるだろう。さらに言うと、パチンコ店の儲けが某国に資金として流れているという噂はつきまとう訳だから、パチンコをやらない人にとってはイメージが非常に良くないというのが、批判される要因なのだろう。感染リスクは濃厚接触して接客するお店とか、スポーツクラブとか、カラオケ店とか、ライブハウスの方がよほど高いと思う。