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嶋田の戯言

嶋田が思いついたことをテキトーに綴ります

静岡県 vs JR東海

 リニア中央新幹線建設に対し、静岡県とJR東海の間に対立が起こり、建設工事に着手できない状態となっている。静岡県以外の方から見れば、静岡県がごねているとか、東海道新幹線ののぞみ号が静岡県内を全て通過している件、静岡空港駅新設を拒否された件に対する嫌がらせのように捉えているかもしれない。実際、前の県知事は「静岡や浜松にのぞみを停車させなければ通行税を取る」なんてアホなことを言っていたので、余計にそう思われても仕方がない。

 だが、事の本質はそこではない。JR東海は、トンネル内に噴出する地下水は全部大井川に流すようなことを言っていたのに、今になって全部は難しい、6割程度になるなどと言い出したことで、話が違う!となったわけだ。しかも、県知事だけでなく、大井川の水を利用する全ての自治体が、工事は容認できないとしている。大井川はダムがいくつかあるが、それらに流れ込むはずの水がどこかへ行ってしまうと、ただでさえ渇水が起こりやすい大井川水系の水事情が、さらに逼迫することになる。この水は、トンネル工事をしなければ、どこかでわき水となって、大井川に流れ込んでいるのだ。そういう事情があることは、元静岡県民としては、是非知って頂きたい。さらに、豊富な水を保持した破砕帯から水が抜けてしまうと、植生に影響を及ぼすことも考えられる。まあ、川勝知事も、もっと冷静に、丁寧に説明すればいいのに、とは思うのだが。

 さらに、南アルプスの地下に長大なトンネルを通すのって、大丈夫か? とも思う。中央構造線に糸魚川静岡構造線。日本の二大断層帯に挟まれた場所をぶち抜くってのはありなのか? 南アルプスは今でも年間数mm隆起するほど強い圧力が掛かっている地域で、至る所に破砕された軟弱地盤が存在する。今の技術ならトンネルを貫通させるのは可能なのかもしれないが、その後のメンテナンスに問題はないのか。また、林道がどこで崩落するかも知れず、工事の安全性にも問題がある。長野県大鹿村でも、この問題が発生し、着工できない状態になっているとか。本当にここを通すの? しかもルートを見ると、わざわざ甲府駅を外して、一直線に飯田付近を目指しているようだが、甲府駅を通してそのまま静岡県を迂回して駒ヶ根辺りを通した方が良いような気がするのだが・・。結局どうしても糸静線と中央構造線は跨がなければいけないのだが、南アルプスぶち抜きの方が速いからか、工期が短いとか、利権が絡んでいるとか、何かどうか理由があるのだろうな。

 リニア中央新幹線は計画通りのルートなら静岡県を通過するだけだが、全くメリットがないとも言えない。リニア中央新幹線が開通し、速達列車の役割を果たせば、東海道新幹線は、いくらかダイヤに余裕を持たせることもできるだろうし、そうなれば一部ののぞみ号を静岡または浜松に停車させることも可能になるかもしれないし、のぞみ号を減便してひかり号やこだま号を増やせるかもしれない。それが実現すれば、静岡県にとっては東海道新幹線の利便性が向上する。悪いことだらけではないし、知事もそれくらいのことは分かっているだろう。それでも工事はまかりならんと主張するのだから、よほど水の問題が重大だということだ。はたしてどのような決着になるのか?

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嶋田友馬
性別:
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