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嶋田の戯言

嶋田が思いついたことをテキトーに綴ります

亜硝酸塩は悪なのか?

 食品添加物の中でも嫌われる物の一つに亜硝酸塩がある。ソーセージやハムなどに添加されている物で、原材料表示では「発色剤(亜硝酸ナトリウム)」などと記載されている。肉の色をピンク色っぽくし、しかもその色を長期間保つために添加される。別にどす黒く変色したって腐っているわけではないし、味も変わらないのだからこんな物添加する必要ないし、亜硝酸塩には体内で発がん性のあるニトロソアミンを生じる可能性があるのだから、こんな物を添加するのは悪! という論調ですね。

 私は別に亜硝酸塩が入っていなくても構わないが、これを入れないのであれば、代わりに保存料(防腐剤)であるソルビン酸などを添加して欲しい。亜硝酸塩も防腐剤も入っていないソーセージなんて、食べる気にはならない。だがそのソルビン酸も、結構嫌われている。

 ソーセージの本場であるドイツでは、19世紀には毎年のように、ソーセージによる食中毒で死者を出していた。ところが、亜硝酸塩が使われるようになってから、食中毒の発生は激減し、ほとんどゼロになったという。発色剤である事は確かなのだが、今では発色剤として入れているメーカーはほとんど無い。主たる目的は防腐剤で、そのついでに肉の変色を防いでくれるから、これを添加している。

 ソーセージによる食中毒の原因は、どこにでもいて、なおかつ地上最強の毒素を産生する殺人細菌・ボツリヌス菌である。ボツリヌス菌が産生するボツリヌストキシンは、わずか1μg(0.000001g)にも満たない量で健康な成人を殺す、とてつもない猛毒である。青酸カリなんか比ではなく(青酸カリのおよそ20万倍の猛毒)、地球上にあるあらゆる毒の中でも最凶のもの

 ところが、ボツリヌス菌は酸素が大嫌いで、通常は芽胞という殻に閉じこもった状態でそこら辺の土の中にいる。そして実は、蜂蜜の中にもいる。100種類くらいの蜂蜜を買ってきて調べてみると、3つか4つくらいから見つかるだろう。でも、蜂蜜の中ではやはり芽胞の状態で存在する。糖の濃度が高すぎて、蜂蜜の中で菌は繁殖できない。砂糖水はすぐにカビが生えるが、砂糖自体はカビも生えず、賞味期限すら設定されていない。それと同じ理屈だ。で、もしその芽胞が体内に入ったとしても、他の腸内細菌がうようよいる状態ではやはり活動できず、そのまま排泄されるから、問題は起こらない(ただし乳児や抗生物質を大量に投与され続けた直後の場合は、腸内細菌叢が十分にできていないため発芽する場合がある。蜂蜜を乳児に与えてはいけないのはそのためだ)。

 ただし、その芽胞というのが困りもので、この状態では100℃で1~2時間加熱したって死なない。だからこれを除去する事は難しい。で、ソーセージに加工すると、腸詰めの中身は酸素と触れないわけなので、いよいよこいつらに好都合な環境になる。発芽して増殖し、その過程で猛毒を産生する。ボツリヌスというのは、ラテン語でソーセージの意味なのだ。この毒素は80℃30分、あるいは100℃で数分の加熱で不活化するが、中心部分までその温度と時間に達するためには、軽くボイルしたり焼いたりするだけでは不十分。だからと言って沸騰する湯の中で10分以上茹でたり、表面が消し炭になるまで焼いたりしたら美味くも何ともない。

 もちろん徹底的な衛生管理をした上で、こうした添加剤を無くしている企業もあるかもしれない。その心がけは立派ではあるが、それであっても私は、亜硝酸塩かソルビン酸、どちらかは添加して欲しい。どんなに衛生管理をしたって、人間のやる事。完璧はあり得ない。

 亜硝酸塩は発がん性のあるニトロソアミンを生ずる可能性がある。ソルビン酸にも変異源の可能性がある・・これが曲者なわけで、毎日のようにこれらが添加されたものを食べても、高齢になるまで健康で暮らせる人もいるわけで、実に評価が難しい。そもそもがん細胞なんか常日頃から体内で発生しており、それをナチュラルキラー細胞などがやっつけるということを日々繰り返している。赤身肉などは発がん性が恐らくあるという評価であるが、赤身肉を食べたからガンになるという事ではない。一方、万が一ボツリヌス菌に汚染されてしまったソーセージを食べてしまったら、高い確率で死ぬ。死なないまでも、ボツリヌス症を発症してしまったら、神経系の後遺症が残るだろう。亜硝酸塩やソルビン酸を添加しておけば、例え混入したとしても、その繁殖を抑える事ができるのだ。亜硝酸塩やソルビン酸のリスクとボツリヌス菌のリスクのどちらが高いか、その選択になるわけで、私はボツリヌス中毒で死ぬ方が嫌だ。そういう話である。

 亜硝酸塩については発色剤、肉の色を綺麗に保つための物。こんな物を使うのはけしからんという論調だが、その人たちはこれが添加されている本当の理由が分かっているのかね。すごく疑問に思うのだ。

 私の周りにこんな人はいないけど、もし私の知り合いが手作りでソーセージを、しかも無添加で作って、それをお裾分けしてくれたら、申し訳ないけど食べずに捨てます。ボツリヌス菌はどこにでもいる、殺菌が難しい、毒素は最凶。私は亜硝酸塩やソルビン酸の入っていないソーセージは信用しない

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コメント

1. そんなに強い毒を持っているとは思わなかった

ポツリヌス菌はよく知ってるし、毒性もかなり強いと思ってたけど
まさか、青酸カリの20万倍もの毒性があるなんて、想像もできなかったです。

こわいですねえ。
びっくりしました。

たしかに、添加物を一切なくすというのは、考えものですよねえ。
それに、薄汚い色のソーセージなんて、食欲がわかないですよね(笑)

生産工程は、みんな自動で作られるんでしょうけど、その過程で
まったくの無菌なんて考えられないですものねえ。

いやあ、びっくりでした。

2. 恐ろしいでしょう?

 青酸カリ1gで殺せる(物騒な言い方ですが)のはたかが数人。
ボツリヌストキシンはたった1gで100万人の致死量ですからね。
まさに地上最強クラスです。

 割とどこにでも居る菌なのですが、あまり問題にならないのは、酸素が大嫌いで、通常は芽胞に閉じこもっているから。
なおかつ、1歳以上の人の体内では発芽する事がほとんど無いから。
でも、真空パックとかソーセージには酸素が入っていないから、そこで発芽するのですよ。
活動を始めたら、毒素をどんどん産生し、致死量に達してしまうというわけです。

 私もね、着色料なんか別になくても良いと思っているのですよ(正月だけ赤いかまぼこが欲しいとは思いますが)。
ただ、ソーセージの亜硝酸塩またはソルビン酸は、徹底した衛生管理をした上でなお、
さらにボツリヌス菌のリスクを減らし、限りなくゼロに近づけるのですから、添加するべきだと思うのです。

 それと・・食品添加物としての亜硝酸塩を問題視しながら、
肥料(窒素)を与えすぎた葉物野菜について言及しないのはおかしいです。
窒素(尿素やアンモニウム塩など)は土壌中の硝酸細菌により硝酸塩となり、
その形で植物に利用されるのですが、窒素分を与えすぎるとそれが葉っぱに溜まります。
で、それを食べるとその一部が体内で亜硝酸塩に変わる。だから食品添加物だけを問題視するのは無意味です。
これは有機肥料であろうと合成肥料であろうと関係ありません。
与えすぎが問題なのですね。
でも、農薬については基準があるのですが、肥料についてはありません。
表示義務もないので、葉物野菜に硝酸態窒素がどれだけ含まれているかは誰にも分からない。
一方実を食べるトマトやナスなどは、仮に硝酸態窒素を多く含んでいても、
流通している間に全部使い尽くしてしまうので問題はありません。

 あと、こうした添加物の実験は、あり得ないほど大量に投与しての話し。
青色1号(合成色素)なんか、血液が紫色になる位大量に、しかも毎日食べさせる実験をするのですからね。

プロフィール

HN:
嶋田友馬
性別:
非公開

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