で、次はこの映画についてである。BDを購入して視たのだが面白くて、昨日からトリウッドで上映されるってことで、初日に観に行った。BDで視てはいるが、トリウッドで観ることに意味があると思いまして。
2023年に封切られた映画で、既に色々なところで内容も語られていますから、前の記事よりはネタバレ情報も入れちゃいます。簡単に言うと、2分間がループする映画。2分経つとまた2分前に戻る。でも記憶はリセットされないからそれに巻き込まれた人たちはおかしいことに気づき、次第に感情が乱れ始め、騒動が巻き起こる。何とか原因を突き止めて時間の流れを取り戻そうとするが・・主人公のミコトは、流れないでほしいという想いを秘めていた。
物語の舞台は冬の貴船。貴船神社と、灯篭が並ぶ階段の上り口すぐ側にある料理旅館ふじや。神社には白いポンチョを着た参拝客らしき人(ヒサメ)、旅館には女将、番頭、3人の料理人(料理長、エイジ、タク)、2人の仲居さん(ミコト、チノ)。客は紅葉の間で執筆中の作家(オバタ)と編集(スギヤマ)、ホトトギスの間で料理を満喫中のクスミとノミヤ。そして貴船川の対岸に猟師。スギヤマは番頭の制止を振り切って、時間前に風呂へ。チノはホトトギスの間の客から注文された熱燗ができるのを待つ。ミコトはほんの一時、階段を下りて貴船川の岸辺にいて・・
ミコトは葵の間の片づけに。番頭も手伝う。で、丁度京都で開催中のサミットの話や、番頭の娘に彼氏ができたとか話しながら食器などを部屋の外に運び出すと、何故かミコトは貴船川の岸辺に。
変だなと思いつつ、もう一度葵の間の片づけに。番頭も合流して葵の間に行くと、片づけたはずの食器がそのままに。二人ともおかしいと思いながら再び片づけつつ、サミットとか番頭の娘の話とか。でもその話はさっきしたし、娘の彼氏が1つ下ってこともミコトはすでに知っている。で、そうこうしているうちにまた、ミコトは貴船川の岸辺に。
ここまでくると他の人たちもおかしいことに気づき始める。チノは熱燗を準備したのに、何度も鍋に戻り、温度も下がる。ホトトギスの間の二人は、〆の雑炊が食べても食べても減らない無限雑炊状態。作家先生は書いても書いても消えてしまうことに苛立ち、強引に風呂に入ったズギヤマは何度も風呂に戻され、ついには腰にタオルを巻いたまま別館の廊下をうろうろ。何となく状況を把握しつつあった番頭と二人の仲居は、客に説明をして回る。そして彼らが急に消えてしまったり、時間が戻ったりしていることから、客も何となく状況を把握。しかし、タオル巻いただけで廊下をうろうろされては困る(旅館の品位が・・)番頭と2人の仲居、そしてホトトギスの間の二人も加わり、スギヤマが風呂から出ないよう閉じ込める。そして次のターンではヒサメが「車とかに詳しい方、いらっしゃいますか? 凍結したみたいで」と旅館を訪ねてくる。なんか意味ありげ。
そうこうしている内、女将が次のターンで本館の3階に来てくれと言う。何となく状況を把握したエイジが説明会を開く。どうやら貴船神社を中心とした狭い範囲だけでループが起こっていると分かったと説明している内、ホトトギスの間の二人と濡れたまま浴衣を羽織ったスギヤマが乱入。ちょっと、何故来たんですかとやっていると時間に。もう一度集合し(スギヤマは締め出される)、なるべく取り乱さないよう、ケンカなどしないよう、節度を持って行動するよう促す。なのに・・
次のターンでミコトは岸辺に立っていると、川の上流側から何かが割れる音が。そして、次にはノートパソコンが降ってきた。紅葉の間に行くと、作家先生が障子を破ったりしていた。壺やパソコンを落としたのも彼。どうせ戻るからって二人の仲居にも障子を破るようそそのかし、チノは破ってしまい、ミコトも・・という時にまた戻る。岸辺のミコトが障子を破れなかったことを悔やむと、今度はホトトギスの間からケンカする声が。さっきケンカとかダメって言ったばかりなのに。ミコトや番頭が止めに入るが二人は収まらない。そうこうしていると部屋の外を裸同然のスギヤマが。番頭が止めているうちに次のターンへ。二人はまだもめている。そしてスギヤマも先生の所へ行こうとする。女将はさっき帰られたお客様のタクシーが事故でとオロオロ、さらには別の店の人が現れ(着衣には血痕が複数)、僕は刺されていないけど板長がおかしくなって・・と、混乱が激しくなっていく。
すると、休憩していた料理人(修行中)のタクが異変にようやく気付く。彼は寝転びながらイヤホンで・・。次のターンでミコトがタクの休憩している部屋に行き、色々と説明している内、チノの叫び声が。止めに行こうとするタクを、ミコトが止める。「それの事とか、バレるよ」と。どうやらタクはフランス料理の修行をしたく、フランス語を勉強していた。イヤホンで聞いていたのもそれ。
ミコトはタクと付き合っていた。でも、タクがフランスに行きたがっているのを知り、複雑な思いを抱えていたのだ。それで貴船の水神様(川)に、流れないで(時間が止まって)と祈った(ここでタイトル回収)。そしたら本当に、時間がループするようになったという。ミコトはタクに思いをぶつけ、タクはミコトに悪いと思いながらも夢に向かって進みたいと思っている。でも、「ミコトちゃんが時間を止めている限り・・」という会話をチノが聞いていて・・。
それはもう、一瞬のうちに尾ひれがついて、ミコトが儀式をしたとか、超能力で時間を止めたとか、大変な騒ぎに。そして、次のターンでミコトとタクは逃亡を図る。まずは下(南側)から、見つかると次は上(北側)から、それも見つかると次は車を奪って逃走。でもまた戻され、今度は川を渡って・・。でも逃亡しているときのミコトは、何か楽しそう。
しかし、ついに二人もの死者を出してしまった。川向うにいた猟師は山から出られなくなり、パニクって、ついには自分を撃ってしまった。作家先生は部屋から飛び降り・・。猟師は番頭の知り合いで、タクは番頭に次のターン始まったらすぐに電話して止めるよう依頼する。そして次のターン、ミコトは紅葉の間から顔を出した作家先生に早まらないよう説得する。何とか収束して、ミコトは水神様に再び流れ出すよう祈ることを決意する。だが・・
ミコトの祈りでようやく時が動き出すと思ったのも束の間、なおも時間は戻る。祈りが足りなかったのか? するとノミヤが「いや、多分僕ですね」と。するとクスミも、作家先生も、スギヤマも。時が止まってほしいと思っていたのはミコトだけではなかったのだ。しかし、しかし、しかし、原因は全く関係ないことであったのだ。
原因究明に動いていたエイジは皆を貴船神社の境内へと集合させる。そこには何やら怪しい機械と・・ヒサメ。ただの参拝客・・ではなく、どうやら未来から来たタイムパトロールで、怪しい機械はタイムマシン・・らしい。ヒサメは何かとごまかしているが、そのタイムマシンのエンジンが凍結して動けなくなり、同じ時間に長くとどまるとパラドクスが起こるため、安全装置が働き2分間で時間が戻るようになったという。なのでエンジンを回復させ、起動すれば・・なのだが、短時間では・・何か大きな衝撃が必要だという。
次のターン、本館ロビーで作戦会議。で、最終ターンで皆境内へと走り、タクはエンジンをバーナーであぶる。ミコトは燃料(ビールかよ! せめてウイスキーだろと突っ込む私)を持って行き、番頭が注入。マシンに乗り込んだヒサメは女将からお土産を受け取り、お祈りをしていたことについて聞かれ、月にいる彼氏と遠距離恋愛中と明かす。そして、ミコトと同じお守りを手にしていた。皆の協力のおかげでエンジンが起動し、そして、駆け付けた猟師が指示された位置を撃つ。その衝撃でタイムマシンはフル起動し、消え去るのであった。そして、時は動き始めた。
ノミヤとクスミはすっかり仲直りしている。作家先生は一度死んだおかげで何かを掴んだようで。タクは料理長に炙りを褒められ、フランスでもどこにでも行って来いと促される。チノはターンの間友達に電話をかけまくり、推しのコンサートのチケットが手に入ると喜ぶ。で、ミコトとタクは・・貴船神社にお参り。ミコトもタクのフランス行きを受け入れたようで・・。そうか。地球と月に比べれば、日本とフランスなんて大した距離ではないものね。
ってことでおしまい。ちょっと書きすぎたかな。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
この映画の肝は2分間をワンカットで撮っているところかな。カメラがずっと追っていることで、今起こっていること(それぞれのターン)が本当に2分間で起こっているということを強く認識させる説得力があるし、緊張感が生まれる。これに関しては時間を測りながら何度もリハをし、どうしてもオーバーしてしまうところは台本を削りながら撮影を進めたらしい(最初から少し長めになるくらいにしていたとか)。なぜかと言うと削るよりも増やす方がしんどいからだそう。そういう手法も上手いよなって思う。
そしてターンを5,6回繰り返すうちにこちらの論理的思考は停止し、次は何が起こるんだという期待が。だがそれは反面不安でもあるわけで・・。仲良さそうな二人がいきなり喧嘩を始めてえっ!何?何?ってなったり、作家先生は狂いだすし、ミコトとタクも逃亡を図るし。いや、2分で無理でしょう。あっちもみんな(エイジ以外)論理的思考が停止している。でも、逃げているときのミコトが楽しそうで、そっか。しばらくデートらしいこともしていなかったし、タクのフランス行きの件でずっともやもやしていて、2分間の逃亡がプチデートになってたって訳か。とにかく面白いしワクワクする。
ミコトはもう一度、川が流れだすよう祈る。が、ループは止まらない。祈りが足りないのか・・って時に、他の人たちが「いや、原因は僕だ」と次々名乗り出て、とどめは全くあさっての方向から原因が。そこかいっ! でも一時はミコトが犯人(?)にされていたのに、他の人も名乗り出るところに優しさというか、それぞれが持っていた心のもやもやを感じ、で、誰のせいでもないんだよって結論付けるためにヒサメが乗ってきたタイムマシンの故障が原因と、力技でねじ伏せたってことか。場所が場所だけに何となく時空の異常が発生しても不思議ではなさそうなだけに、拍子抜けした半面、何となく誰のせいでもないっていう作者の心遣いなのかなとも思ったわけさ。あと、それをねじ込んで、ヒサメから「月にいる彼氏と遠恋ちう」って引き出して、ミコトにフランスなんて大した距離じゃないじゃんって、思わせる仕掛けなんだろうなって思った。やっぱ上手い。そして、お守りを見せ合うミコトとヒサメ、可愛かったぁ。
結局タクはフランスに行くのだろう。で、何年かかるのか? その間ミコトは待っているのか? 例えばタクにあちらで恋人ができたとかってなるかも。そしたらミコトは・・あ~、それなんだけど、私も実は・・って嘘ついて・・な~んてその後の二人を色々と想像する私がいるのだ。どうなるかは分からない。それは貴船の神様のみが知る???
しかし、未来から来たタイムマシン・・廃材かよ! エンジンをバーナーで炙って大丈夫なの? 爆発しない? って要らぬ心配も。で、挙句に猟銃で撃ってしまうんだから、あれ、通報されたら狩猟免許取り消しだよな(笑)。日本の警察は跳弾を特に気にするからねぇ。
まあ、ともあれ面白く、コンパクトながらよく計算され、よくできた映画だと思った。ニノが激賞するのも分かる気がする。
あと、ミコトの初期位置で、時々聞こえるヤマガラの鳴き声。これがまたナイス。さすが、頭の良い鳥(仕込むと芸を覚える)。
作家先生(オバタ)を演じたのは近藤芳正。この方は「偉そうな小者」を演じさせたら上手いって勝手に思っているのだが、それは反町GTOの中丸先生が原因か? で、20日スタートのGTOで再び中丸先生を演じるようで、今から期待している。どんな奴に成長(?)しているか楽しみ(笑)。女将役の本上まなみも、久々に見たが、いい感じに「女将」だった。
まずはBDで視たわけだが、その翌日、これを紹介してくれた素敵な女性に電話をかけるも今日は本社に行っているとのこと。で、翌日昼にもう一度掛けたら、食事に行っていると。で、「嶋田がリバー絶賛してたって伝えといて」って伝言を頼むと、その30分後に折り返してきた。相手は仕事中だったので手短に感想を述べた後、最後に「ミコトちゃんが可愛かった」って言ったら「可愛いですよね~」でまた盛り上がった。それは表情や所作や声を含めて。ターン11の「だから言ってんじゃん!」って怒るところ(前回ターンの終了間際にスギヤマが携帯を取ってくるよう要求し、このターンでは無理って言ってるのにそれでもってことで渋々取りに行ったところで岸辺に戻ったため)とか、その3回後には「何回やんのよ!」ってイラついた表情をしたりとか、かと思えば思いつめたような表情をしたり。そうした表情の変化も良かったし、所作の一つ一つが何か上品。
で、何気なくテレビを見ていたらつるりんちょのCMに何か見覚えのある人が。あっ! メガネの後輩社員役の人、ミコトちゃん(を演じた藤谷理子)だぁ!
1. 磐長姫命
天孫である瓊瓊杵命(ににぎのみこと)は、葦原中国に降臨して木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)に一目惚れしました。父である大山祗命(おおやまつみのみこと)は姉の磐長姫命も共に妃として差し出しましたが、瓊瓊杵尊は絶世の美女であった木花開耶姫命だけを妻とし、不美人であった磐長姫命を疎み大山祇命の許に帰してしまいます。
貴船神社の伝承によれば、磐長姫命はそれを恥じ、「縁結びの神として良縁を授けん」と言って貴船の地に鎮まり、縁結びの神となったといいます。自分はそんな理由から結婚を拒まれたというのに。きっと心のお優しい神様なのでしょう。
ところで静岡県賀茂郡松崎町には雲見浅間神社というのがあります。浅間神社は富士山本宮浅間大社を頂点とする神社で、祀っているのは木花之佐久夜毘売命(木花開耶姫命)。つまりこの神は富士山なのですわ。磐長姫命も一緒に祀っているところもありますが、雲見浅間神社は磐長姫命を単独で祀っており、全国に千以上ある浅間神社の中でもほんの数社という非常に珍しい神社なのです。
先に記した件を恥じ、雲見に逃れ、ここで祀られたと。で、この神社へとお参りする際には・・
晴れていれば富士山が綺麗に見えるのですが、決して富士山を見てはいけない。富士山が綺麗ねぇ・・などと言おうものなら、海へ突き落とされてしまうという、怖い言い伝えがあります。美しい妹に嫉妬して、と言われていますが・・・。
この雲見浅間神社、海岸にポツンとそびえる山(163m)の頂にあります。海岸のすぐ側なのに100m以上の標高があるのですから、参拝するためには急な坂を上り下りする必要があるのは容易に想像できるでしょう。しかも昔は今ほど整備されていない山道を上り下りしていたわけです。富士山に気を取られ、足元を見ていないとマジで転落してしまいます。
つまり磐長姫命は嫉妬深く怖い神様を演じることで、お参りに来てくれる人を守っている、やっぱりお優しい神様なのです、ってのが私の解釈。
ちなみに妹の木花開耶姫命は、居なくなった姉を探し続け、遠くまで見渡せるよう背伸びを続けた結果、富士山はあんなに高くなってしまった、とも伝わっています。